広告業界において、20年近くグラフィックデザインの経験を経た後、エンシャンテ ッド・ステュディオスのクリエイティブ・ディレクターを務めるサイモン・ブロウ (Simon Brough)は、型に嵌った“ハウススタイル”を採用せず、すべてのプロダクショ ンをユニークなビジュアルスタイルに仕立ててきたことを誇りにしています。 洒落たデザインと目を惹き付けるモーショングラフィックス、なぜエンシャンテッ ド・ステュディオスのアフターエフェクツ・テンプレートとアップル・モーション・テ ンプレートが人気なのかは誰にもすぐに分かります。 サイモンはデザインコミュニケーションの学位を取得した後、テレビジョン・グラフ ィックス専攻の芸術学士号(Bachelor of Arts Degree)を獲得し、90年代初期、コン ピューターの性能がまだ限られていた頃に、手書き風の描画、背景などのグラフィッ クデザインを手がけ始めました。 それから彼の無尽蔵な好奇心によってこの道をもっと深く追求することになったので す。彼の曲がりくねった足跡について、お話しを聞きました。

ENCMotionElements:こんにちは、サイモン! 私たちに、もっとあなたのことを教えて ください。エンシャンテッド・ステュディオスを始める前、あなたはどう過ごしてい て、どんな風に会社をスタートしたのですか?

サイモン: エンシャンテッド・ステュディオスを始める前、私は14年ほどを広告業界 で過ごしました。始めはマーケティング会社の印刷物のグラフィックデザイナーでし た。インターネットは、まだ成長途中でしたので、大抵のビジネスは広告を郵送する という時代でした。 私がアフターエフェクツを知り、テレビ放映出来る品質のアニメーションを作成でき るようになった頃のことでした。大会社の顧客は大きな広告予算を持っていましたの で、モーションキャプチャー技術や、贅沢な時間を費やす長ったらしい3Dのシーンを 使う可能性についても探ることができました。 15年前、3Dアニメーションをロースペックの機械でレンダリングするということ は、お客さんが相当の予算を持たない限り、実現困難でした。仕事が終わるのに永遠 の時間がかかります!

エンシャンテッド・ステュディオスは、私のフリーランスデザインサービスのブラン ドとして作りましたが、今では私のモーショングラフィックスとテンプレートコレク ションの代名詞になってしまいましたね。

ME:今のようなコンピューターが普通に使われる時代以前にモーショングラフィックスに関わっ て来られた方として、何かその頃のことを教えてください。

サイモン: 私が90年代半ばに働いていたテレビスタジオではモーションコントロール カメラやロストラムカメラ(rostrum cameras)など、大きな機械操作のデバイスが使 われていて、全て手動でした。デジタル技術はまだ開発途上で、非常に高価なQuantel Paintboxワークステーションはありましたが、一般的には実写がすべてであり、それ を支える極めて基本的な技術の上に成り立っていたのです。

私がデジタルモーショングラフィックスに最初に出会ったのは、実はもっと早い時期 でした。まだ学生の頃、1991年、コモドールのアミーガでした。私はデラックス ペイントとファンタビジョンを使い、フロッピーディスクと贅沢にもRAMが1MBもあ るコンピューターで製作していたんです!

ME:今は、どんな仕事をなさっておられますか?

サイモン: アフターエフェクツ・テンプレートの製作です。新しいテンプレートデザイ ンに取り組む時、すでに市場にあるものとは違う、個性的なものを作るように心がけ ています。

ME:あなたのなさることの中で何が一番素敵なことだと思われますか?

サイモン: 私は魅力的なグラフィックデザインや映像を創作する時には、心ゆくまで楽 しんでいますよ。そして、それらをアニメーティングする! 私はしょっちゅう新しい 技術とデザインスタイルに興奮しているのです。私の机は、付箋紙と未来のアニメーシ ョンの案のスケッチとであふれています。 私は、新しいアイデアが出て来る時がとても好きで、自分の想像通りに全ての素材が 出来上がった時には、興奮します。それに私は映画を観るのもとても好きで、とりわ け上手にデザインされたタイトルバックには本当に魅了されてしまいます。

ME:ご自分の作品の中にお気に入りのものがありますか?どの作品で、それがお気に 入りである理由を教えてください。

サイモン:私のお気に入りのひとつは、ネオンシティー3Dプロモ(Neon City 3D Promo)です。私は、この作品のために完全な3Dシティーを組み立てました。ちょう どトロンレガシーという映画を観たところで、ネオンライトの自分の街を創造するよ うインスパイアされたのです。このように何かを最初から最後まで創るということは 楽しいことでした。

MotionElements Stock Footage

ME:もしも、ドリームプロジェクトが与えられるチャンスがあったとしたらあなたは、どのソフトウェアを使って制作したいですか? そしてその理由は?
サイモン: 私の夢のプロジェクトには、ペンとインクで紙の上に上手に描かれたイラストから始めたいと思います。それから、Mayaのような3Dソフトを使って環境を整え、写真素材を使い、キャラクターを使って、最後にアフターエフェクツが仕上げのタッチを付けてくれることでしょう。

ME:では、モーション?それともアフターエフェクツ?

サイモン: 私はマックユーザーで、アドビのアフターエフェクツを早くから採用してきた者の 一人なのですが、アップルモーションが出てくるずっと前からアフターエフェクツの 簡単に使えて仕上がりも多彩であるということの虜になりました。モーションは間違 いなく有能でパワフルなプログラムです。でも、私はまだモーショングラフィックス 制作のためにアフターエフェクツと比較できるほどのソフトウェアを使ったことがあ りません。

ME:あなたのお仕事はどんな風に説明できますか?

サイモン:私は、色々なものから一つのものを作り上げるスタイル(eclectic)だと申し 上げたいです。私は、前の作品からは全く違うスタイルに仕上げるドラマチックなイ ンスピレーションをたくさん持っています。私はいつもテクニックについて探求し、 一度プロジェクトを終えるとそのビジュアルスタイルはすっかり捨ててしまうのです。

ME: 最後に、アーティストの卵たちに世に出るためのアドバイスをいただけますか?

サイモン:どんな新米の動画アーティストにも言えるのは、最初に良いデジタルカメラ を購入することです。壁や床や空の写真を撮りましょう。人々は床の写真を撮ってい るあなたを奇妙な人だと思うでしょうが、これらのことが、あなたが自分の創作をす る時に間違いなく個性として作り込まれて行くのです。それから著作権の問題も避け ましょう。私は自分のアニメーションとテンプレートに私の床板の写真を何度も使っ ているんですよ。 それから二つ目のアドバイスとして言って差し上げられることは、コンピューターか ら離れなさい、ということです。最低でも1日に数時間。あなたのベストな仕事はい つも必ず紙の上のスケッチから始めた時に生まれるんですよ。間違いありません。

サイモン・ブロウ氏の作品はこちらで見ることができます。 MotionElements’ Enchanted Studios’ Artist Page.

ストックメディアの製作の他に、 Enchanted Studios はカスタムデザインも請 け負っています。こちらのサイトを御覧ください。 http://www.enchantedstudios.co.uk/.