“色”はデザインやビジュアルストーリーテリングに置ける基本的な要素であり、画面で目に見える以上の内容を伝えるものです。私たちは色を物体を説明するのに使ったり、感情を表現したり、観客の反応を引き起こさせるために使ったりします。ビデオ制作のポストプロダクション過程では、カラーグレーディングまたは色補正をして色を完璧なものにします。かつては色のプロフェッショナルの仕事だったものが、今ではカラーグレーディングや色補正のツールは、今日ではほとんどの動画編集プログラムに付属され、誰もが利用できます。よく色補正とカラーグレーディングは同じものと思われたり同じように使われたりしますが、実際にはまったく別のものです。ここではそれぞれについて説明していきます

色補正

色補正とは、ビデオフッテージのクリップを複数のショットの中で周囲の色温度に合うように補正する工程を指します。色のバランスを合わせることで、白い色は白く、黒い色は黒く見えるようにし、他の色はその間で偏りなく発色するようにすることです。

色補正の目的は、ビデオ映像を人間の目から見たような色合いにすることです。人間の目では、暖かい光でも冷たい光の下でも、白い物は常に白く見えます。しかし、カメラを適切なホワイトバランスに設定していない場合、青みがかった白か、黄色がかった白、または実際の白のいずれかが表れます。

また、一日かけて屋外で撮影する場合、太陽の光や位置が変わることで、撮影した映像の色が刻々と変わってしまうでしょう。そこで色補正が必要になります。全てのショットが継ぎ接ぎのようにならず、同じ時に撮影されたように見えるからです。色補正は、マスクやマットと同様に一次および二次ツールとして利用できます

色補正は、多くのハリウッド大作映画で使用されています。トランスフォーマーやブラックホーク·ダウンのようなアクション映画からザ・リングやソウのようなホラー映画まで、人の視覚に近い自然な映像にするために使用されています。ハリウッドで使用されている多数の色補正プロファイルの例をこちらからご覧いただけます。

一次および二次色補正

一次補正は、画像全体に適用されます。赤、青、緑、ガンマ(中間トーン)影(ブラック)とハイライト(白)の強さを調整するのです。ひとつの色の強さを変更するだけで、イメージの外観がかなり変わります。.

二次補正は、クロマキー合成と同じ考えに基づいています。彩度、輝度、色相をイエロー、マゼンタ、シアン、青、緑、赤に限って変更するのです。スペクトル内の他の色はほとんど影響を受けません。

マスクとマット

一次および二次補正の他に、マットやマスクなどの幾何学的形状を使用して、画像の特定領域のみの色調整をすることができます。これは、特定の部分の色を変更したり、または特定の部分を除いた全ての部分の色を変更することが可能であるということです。

カラーグレーディング

カラーグレーディングは、色補正からさらに一歩進んだ調整をします。美的目的と伝達目的のために画像に手を加えるのです。ビデオが一応完成したら、次に色を操作して新しいビジュアルトーンを作成し、物語を更に印象深いものに加工していきます。

全てのビデオは、加法混色システムを使用しています。光の三原色である赤、青、緑を用い、その他の色はこれら三原色の組み合わせを利用して作成されます。混合の割合は等しい必要はありません。カラーグレーディングは、これら三色の閾値と適用の範囲を操作して行います。

ビデオに午後の太陽のイメージを与えたいのであれば、赤色スペクトル側に色を少し寄せることで調整できます。また、クールな雰囲気を与えたい場合は、青色スペクトル側へ色を寄せます。

特定の気分を強調したり、ストーリーをより明確に伝えるために、撮影監督はカラーグレーディングを使用します。テレビでいうカラーグレーディングの例としては、ヒストリーチャンネルのトップギア、映画ではバイオハザードIV アフターライフやマトリックスが挙げられます。こちらからハリウッドで使用されているカラーグレーディングプロファイルをご覧いただけます。

実費優先主義

今日、色補正やカラーグレーディングツールが映像編集ソフトウェア上で利用できると、すぐにその虜になってしまいます。特にカラーグレーディングは便利です。優れたカラーグレードというのは単に見栄えを良くするのではなく、動画の主題、テーマなどに動機付けされて行うものなのです。中でもカラーグレードを決めるのに最も重要なのは物語自体です。シンプルな色使いであることを恐れてはいけません。